指定難病医療費助成制度について
指定難病助成制度を受けるには、どのような手続きが必要ですか?
自己免疫性肺胞蛋白症または遺伝性肺胞蛋白症診断が確定して、管理区分重症度が3、4、5の人は難病法に基づく医療助成を受けることができます。この助成制度を受けるメリットは、月々の病院受診にかかる費用を自己負担額上限(表2を見てください)に減らすことが出来ることです。
注)患者さんに6分間歩いてもらって、歩いた後の酸素飽和度を測った時に90%未満になったら重症度に1を加える。
この助成を受けるには、難病指定医に診てもらう必要があります。ふだんかかっている先生が難病指定医でない場合は、お近くにいる難病指定医宛に紹介状を書いてもらいましょう。
(肺胞蛋白症を診てくださる難病指定医のリストはこちら)
【重要!】
指定難病助成制度(軽症者特例)
-軽症者でも指定難病助成制度の対象となることがあります-
指定難病にかかっていても、国が定める管理区分重症度等を満たさなければ特定医療費助成の対象となりません。
しかし、新規申請で認定されなかった場合でも、指定難病にかかっていると認められ、指定難病に係る医療費総額が33,330円を超える月(医療費の自己負担がおよそ1万円となる月が年3回以上ある場合)が3回以上ある場合は、「軽症者特例」として医療費助成を受けることができます。
注:申請月から起算して12月前の月、または指定難病を発症したと難病指定医が認めた月を比較して、いずれか後の月から申請日までの期間が対象です。
申請書は都道府県・指定都市の担当窓口やホームページで入手ください。
参考:「指定難病医療費助成制度 ○○市」で検索ください。
高額かつ長期特例
-支払いが一定額を超える月が続く場合の特例-
特定医療費(指定難病)受給者の方で、自己負担上限月額が10,000円以上の方は、指定難病にかかる医療費総額が50,000円を超える月が年間6回以上ある場合、「高額難病治療継続者」として申請することにより自己負担額が軽減されます。
軽減後の自己負担額は表2をご覧ください。
申請書は都道府県・指定都市の担当窓口やホームページで入手ください。
参考:「指定難病医療費助成制度 ○○市」で検索ください。
指定難病医療費助成制度の手続きの流れは以下のようになります。
(1)難病指定医を受診して診断書作成を依頼します
難病指定医に診てもらい、診断書(表1-b)の作成(作成料:約4,400円)を依頼します。
難病指定医は患者さんの診察と必要な検査を終えて、確かに助成制度の対象者であることを確認すると臨床調査個人票という書類に必要事項を記入してくれます。
臨床調査個人票の書式(図1)は全部で7ページからなり、1ページ目に名前、住所などの個人情報、2ページ目に生活状況と症状、3ページ目に血液検査、呼吸機能検査、CT検査所見、病理所見、4ページ目に肺胞蛋白症の分類、5ページ目に経過と治療歴、6ページ目に重症度の判断と難治例かどうかの判断、7ページ目に介助の必要性と最後に記載している難病指定医の名前と所属する医療機関名を書くことになっています。
検査結果がそろうのに相当時間がかかるのと、記入するのも大変です。気長に待ちましょう。
(2)必要書類へ記入をして都道府県・指定都市の担当窓口に提出します
臨床調査個人票を難病指定医に記入してもらえたら、さらに必要な書類(表1を見てください)をご本人あるいはご家族が書類(a、c、d、h)に記入し、申請に必要な書類(表1にある a~g までの書類、必要に応じて h~j までの書類)を都道府県・指定都市の担当窓口に提出してください。
お住まいの保健所に電話をして、「指定難病助成制度に申請したいのですが、窓口につないでいただけないでしょうか?」と言って、担当窓口の方とまずコンタクトを取られることをおすすめします。
書類の郵送が可能か、直接提出ならば、何曜日の何時ごろにいけば、待たされずにスムーズにいくのかなど教えてもらいましょう。
全員が提出する書類 | 書式入手先 |
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a. 特定医療費の支給認定申請書 | 都道府県・指定都市の担当窓口(保健所) または市区町村ホームページからダウンロード |
b. 難病指定医が作成した診断書(臨床調査個人票) 難病指定医に作成してもらってください |
難病指定医のいる病院がフォーマットを持っています |
c. マイナンバー法に基づき申請時に必要な書類 | 都道府県・指定都市の担当窓口(保健所) |
d. 同意書(医療保険の所得区分確認の際に必要) | 都道府県・指定都市の担当窓口(保健所) |
e. 世帯全員の記載がある住民票 | 都道府県・指定都市の住民票発行窓口 |
f. 健康保険証のコピー | ご本人がコンビニなどでコピーしてください。 |
g. 市区町村民税(非)課税証明書等 | 都道府県・指定都市の住民税窓口 |
必要に応じて提出する書類 | 書式入手先 |
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h. 人工呼吸器等装着者であることを証明する書類 | 都道府県・指定都市の担当窓口(保健所) |
i. 世帯内に申請者以外に特定医療費または小児慢性特定疾病医療費の受給者がいることを証明する書類 | 対象のご家族 |
j. 医療費について確認できる書類(高額かつ長期、または軽症高額に該当することを確認するために必要な領収書など) | ご本人やご家族 |
(参考リンク)
お住まいの担当窓口はこちらをご覧ください。
厚生労働省WEBサイト:保健所管轄区域案内
(3)「医療受給者証」到着後に、払い戻しの手続きをします
「医療受給者証」が到着してから、払い戻しの手続きをしてください。申請から結果通知まで約90日かかります。その間の医療費(申請をした日からが対象です)については一旦、立て替えていただき、受給者証が届きましたら、月の自己負担額を超えた医療費(表2)について申請窓口で償還払いの手続き(払い戻し請求)をしてください。自己負担上限額は世帯の所得で決まりますが、この「世帯」とは住民票上の世帯ではなく同じ医療保険に入っている人同士が「世帯」となります。
※階層区分の基準は医療保険上の世帯で算定します。同じ医療保険に入っている人同士が「世帯」となります。
※「高額かつ長期」とは月ごとの医療費総額が5万円を超える月が12か月の間に6回以上ある方です。
(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担額が1万円を超える月が12か月の間に6回以上)
例をあげて説明します。
たとえば年収350万円(一般所得Ⅰ)の受給証が交付されている2割負担の患者さんが、1カ月の総医療費20,000円かかったとすると、窓口での支払額は4,000円(2万円の2割)となります。1カ月の総医療費60,000円かかった場合の窓口での支払額は12,000円(6万円の2割)ではなく、自己負担上限額の10,000円で済みます。月々の医療費の支払いが表2に示す自己負担上限額を超えることはありません。
医療費の立て替え払いが困難な患者さんは、多くの病院には、「患者サポートセンター」が設置されていたり、「ソーシャルワーカー」と呼ばれる医療や福祉の相談員が働いているので、病院窓口に相談してみましょう。
インターネットを見れる患者さんは、以下のキーワード検索で関連のページに入りましょう。
参考 「医療費払い戻し ○○市」で検索ください。
参考 医療費の払い戻しが受けられる場合(新潟市のWebサイト)
【注意!】
- 医療受給者証の有効期限は1年間のため、引き続き助成を受けるためには毎年更新する必要があります。
- 更新時に病気の程度が軽快している場合、医療費助成の対象にならない場合があります。
- 指定医による診断書(臨床調査個人票)の作成には、手数料(約4,400円)が必要になります。(更新時にも同じく手数料を要します)。
- 申請から医療受給者証が交付されるまで約90日かかります。その間は、受診した医療機関に療養証明書を交付してもらい、医療受給者証が届いたら、療養証明書を都道府県・指定都市に提出して医療費の還付手続きを行います。還付申請できる医療費は書類を全部そろえて提出した日からとなります。申請する前に肺胞蛋白症の診断を受けて病院にかかった分は還付申請できません。
- 原則1カ月を上限に、管理区分重症度の決定にさかのぼって医療費が還付されます(2023年10月より)
【転居された場合】
転居された場合には速やかに転出元に医療受給者証を添えて変更の届け出をするとともに、転入先の都道府県・指定都市に新規申請(費用はかかりません)を行うことが必要となります。 ただ指定難病の制度は各自治体が担っており、自治体により手続き方法等が異なります。詳しくはお住いを管轄する保健所へご確認ください。
難病法改正のお知らせ
改正難病法が、2022年12月10日に参議院本会議で可決・成立しました。 大きくかわる点は2つです。
医療費助成が前倒しになります
- 医療費助成を開始する時期の変更(2023年10月運用予定)
これまでの「申請時点」よりさかのぼって、原則1カ月を上限に、「重症化と診断された日」から助成が認められます。入院や緊急な治療が必要だった場合などは最長3カ月が上限です。
登録者証が発行されます
- 国のデータベースへの登録を行った患者へ登録者証(仮称)を発行(2024年4月運用予定)
医療費助成の対象外だった軽症の難病患者も取得でき、障害福祉サービスやハローワークで就労支援を受ける際に求められる「医師の診断書」の代わりとして用いることが可能となります。
指定難病医療助成制度を受けていなくて、月々の支払いが高額になったときにどうしますか?
指定難病医療助成制度に申請して、「医療受給者証」を持っていると、月々の医療費の支払いが表2に示す自己負担上限額を超えることはありません。
端的に言うと、高額所得者でも3万円を超えることはないわけです。
しかし、これは、「自己免疫性肺胞蛋白症」または「遺伝性肺胞蛋白症」と診断された「管理区分重症度が3、4、5の患者さん」について、言えることです。
「続発性肺胞蛋白症」の患者さん、あるいは「自己免疫性肺胞蛋白症」または「遺伝性肺胞蛋白症」の患者さんで「管理区分重症度が1と2の患者さん」が高額な医療費を払った場合は、このページの指定難病医療費助成制度の「軽症者特例」や、次ページの「高額療養費制度」をお読みください。
指定難病助成制度を受けていない方でも医療費の面で救済されます。それが、高額医療費制度です。