日本肺胞蛋白症患者会

医療費について

肺胞蛋白症になると、医療費はどれくらいかかりますか?

医師から肺胞蛋白症 かもしれないと言われてまず心配になることのひとつに「これからいくらくらいお金がかかるのだろう?」という医療費の問題があります。

初診から診断まで

まず、正確な診断をつけるのが先決です。

以下の金額は、まだ、「肺胞蛋白症」と診断が決まっていないときに通常の保険3割負担で支払った場合の大体の医療費です。

初診のときの病院への支払い

問診、血液検査(この部分では一般的な検査と肺胞蛋白症の人の血液中にKL-6やSP-Dという物質の濃度)、単純肺レントゲン撮影、その後、肺のCTという流れになると思います。
ここまでで、大雑把に計算すると、3割負担の方で初診時約8,000~10,000円が必要です。
診断には、自己免疫性肺胞蛋白症(92%はこのタイプ)でも、初診から1~2カ月はかかります。

再診のときの病院と薬局への支払い

再診では気管支ファイバースコープ検査を受けて、経気管支鏡肺生検注1あるいは気管支肺胞洗浄注2(いずれも外来で受けられる検査です)という検査を実施します。この検査料は、3割負担で、約17,000円かかります。でも、もし、自己免疫性肺胞蛋白症と診断されたら、指定難病医療費助成制度により医療費の助成を受けられるかもしれないので「指定難病医療費助成制度」のページをご覧ください。

または、指定難病患者への医療費助成制度のご案内(難病情報センターホームページ)をご覧ください。

ただし、自己免疫性であることの証明(確定診断といいます)には、血液中の抗GM-CSF自己抗体濃度の測定が必要です。この検査はどの医療機関でも受付可能になりました。(参考「お知らせ:抗GM-CSF抗体検査」)が、患者さんは自費診療となるため、少なくとも検査料だけで1回あたり全額負担で5〜6万円(医療機関ごとに金額は異なります)がかかるほか、診断料、検査手技量の諸費用が加わり、支払いが高額となります。検査は「SRL」という検査会社が受けていて結果がでるまでに2〜3週間かかります。

日本肺胞蛋白症患者会では、厚生労働省に対し、血液中の抗GM−CSF自己抗体濃度の測定がもっと安くなるように、検査の保険収載注3を求めています。

続発性肺胞蛋白症や遺伝性肺胞蛋白症と診断されるまでには、自己免疫性肺胞蛋白症でないことを診断することが先決です。続発性肺胞蛋白症は、血液の病気や膠原病などがないかを診ることになるので、時間がかかることが多いです。遺伝性肺胞蛋白症と診断されるには、遺伝子を調べるため、数年かかることもあります。医療費については、続発性肺胞蛋白症が指定難病となっていないため、払い戻しができません。しかし、高額医療費の制度があるので、自己負担額は軽減されます。

注1)気管支ファイバースコープから鉗子を入れて肺の組織をほんの少し取ってくる検査
注2)気管支ファイバースコープから生理食塩水を肺に入れて肺を洗った液を回収する検査
注3)薬や診断のための検査薬は厚生労働省によって承認されたあと中央社会保険医療協議会というところで価格が決められます。そうすると、保険での支払いが3割負担となります。

治療のために入院するといくらかかりますか?

自己免疫性肺胞蛋白症と診断されて、全肺洗浄法を受けるために入院した場合、患者さんが病院窓口で支払う金額は、多くの病院で1カ月について保険3割負担で30~50万円です。(個室料や食費は別途請求があります)。

重症度3、4、5の患者さん(安静時の動脈血酸素分圧が70mmHg未満)は、後で説明するように指定難病の医療費助成制度に申請ができ、受給者証をもらえると、制度を利用できます。年収により、かかる医療費の上限が決められ、上限額を超えた分は窓口負担がなくなります。

この制度に申請してから、受給証が届くまでの間に一旦立替えた医療費は、市区町村の役所に申請すると上限を越えた分が戻ってきます。また、重症度3、4、5の患者さんでない場合でも「※軽症者特例」により医療費助成を受けられることがあります。

指定難病助成制度に該当しない患者さんも年収によって定められた限度額を超えると高額療養費制度(限度額適応認定)に申請することができ、医療費の一部が戻ってきます(公的医療保険に加入している方が対象です)。最終的にどんなに多くても月ごとの自己負担額はおよそ月額8万円~9万円程度です(所得により違います)。

また、全肺洗浄術肺洗浄は診療報酬上のK509-2(気管支肺胞洗浄術)に分類されているためご自身で入られている生命保険・医療保険が使用できます。