医療費助成制度について
診断がついたら-医療費助成制度が受けらるかもしれません。
我が国の医療は、難病の患者さんの経済的なご負担を軽減するため、いくつかの制度を設けています。
第一の制度は、重症の患者さんの受診にかかる医療費の負担を少なくする制度(指定難病医療費助成制度)です。第二は、外来・入院などで、1カ月あたりの医療費が高額になったときの救済策(高額医療費助成制度)です。第三の制度は、さらに重症になって、身障者手帳を持つようになった患者さんへの医療費助成制度(重度身障者医療費助成制度)です。
問題は、所得制限、重症度制限を設けたことで、患者さんには非常にわかりにくい制度になってしまったことです。このホームページでは肺胞蛋白症に的をしぼってなるべくわかりやすく説明します。
まず、指定難病助成制度ですが、あとで書くように、医師が診断して、動脈血の酸素分圧を測定して、重症度を決めて、難病指定医から「臨床調査個人票」に必要事項を書いてもらい、その書類と患者さんご本人が書かれる申請書などの書類をお住まいの都道府県・指定都市の役所の担当課に提出して、医療費受給者証の交付を受ける必要があります。通常審査と手続きに約90日かかります。
この説明は少しわかりにくいですね。このあとに手続きの流れをくわしく説明しますのでご安心ください。
患者さんが罹っている肺胞蛋白症の重症度(病気の重さ)によって指定難病助成を受けられるか受けられないかが決まります。自己免疫性肺胞蛋白症と遺伝性肺胞で重症度が3、4、5の人が対象となります。大雑把に言って、肺胞蛋白症の患者さんの半数が該当します。
肺胞蛋白症の重症度とは
安静にしてあおむけで動脈の血液を医師が採って、検査室で酸素の分圧(酸素の量)を測ります。その値が70mmHg未満で60mmHg以上の場合は「重症度3」、60mmHg未満50mmHg以上は「重症度4」、50mmHg未満が「重症度5」とされます。
健康な人の動脈の中の酸素の圧は80mm〜95mmHgです。
ここで是非知っていただきたいのは、以下のことです。
管理区分重症度とは?
(難病情報センターホームページ(2023年8月7日現在)から引用)
【管理区分重症度】
以下の場合、難治例として、重症度を1度加えて管理区分重症度とする(I~VIで表記)。
その場合、管理区分重症度の後に( )を附記し詳細を記入。
例 管理区分重症度:Ⅲ(肺線維症合併)
(1)明らかな肺線維症の合併
(2)反復、継続する感染症合併
(3)CPAPの場合
(4)6分間歩行試験で、Sp0290%未満を認める場合
診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
- 病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
- 治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
- なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
非常に重要なこと
肺胞蛋白症の患者さんが受けられる医療費助成制度は、承認されると毎月一定の金額が国や自治体から患者さんに支払われるというような制度ではありません。
申請や更新を行うことにより、1カ月の治療にかかる自己負担の限度額(自己負担上限額)が設定され、上限額を超えた分は窓口負担がなくなるというものです。所得に応じてひと月の自己負担上限額が決まっていて、ひと月にかかる病院窓口、薬局での支払い医療費は、自己負担上限額までとなります。
なお、医療助成制度は申請した疾患のみが対象です。他の病気で診察を受け、高額な医療費を支払った場合は高額医療費助成を申請することで払い戻しがうけられます。