日本肺胞蛋白症患者会

お知らせ

leukine吸入療法試験 新規症例募集終了のお知らせ

2023年04⽉21⽇

GM-CSF吸入療法の実用化を待ち望んでいる患者さん・医師の皆様へ

2000年に東北大学で初めて重症の肺胞蛋白症の患者さんにGM-CSF吸入療法が行われ、低酸素のため寝たきり状態だった患者さんが歩いて退院できるまで回復して以来、この治療の実用化をめざして日本肺胞蛋白症患者会や全国の呼吸器内科医が協力してきました。こんなにも長い間、実用化できなかったのは、GM-CSF(商品名:Ieukine(リューカイン))を販売する会社が22年間の間に6社も代わったからです。交渉が上手くいきそうになっても、GM−CSFの販売権が移って、また、交渉をやり直すということを繰り返しておりました。

2016年に全国12施設が参加して実施した医師主導治験(PAGE試験)が成功しましたが、終了とほぼ同時期にリューカインは、サノフィ・ジェンザイムという会社から米国ボストンにあるパートナーセラペウティックス社に販売権が移りました。我が国の製薬企業であるノーベルファーマ社がパートナーセラペウティックス社から輸入して日本で販売する権利を得て、2021年には自己免疫性肺胞蛋白症の治療のために発売する予定でした。しかし、2020年から始まった新型コロナウイルス大流行のために、リューカインを製造していた米国の工場が移転することになり、発売が大幅に遅れることになってしまいました。

この事態を重く観た日本肺胞蛋白症患者会とPAGE試験に参加した医師たちは、ノーベルファーマ社にリューカインの無償供与を要望し、この度同社の塩村仁社長は、7000バイアルの無償供与を全国の自己免疫性肺胞蛋白症の治療を行う医師に対して行うことを決めました。

この治療は、特定臨床研究という形で行われますが、検査が少なく患者さんへの負担を最小限にしたもので、2022年の8月から実施中です。自己免疫性肺胞蛋白症の診断がついていて、中等・重症の自己免疫性肺胞蛋白症の患者さんを対象にします。治療を急いでいる患者さん(主には重症の患者さん)を優先いたします。吸入は、1週間1日1回1バイアルを吸入したあと、1週間お休みするというサイクルを12回繰り返します。もしそれでよくならなかったら、1週間1日1回2バイアルを吸入したあと、1週間お休みするというサイクルを12回繰り返します。この間、病院に受診するのは、5回です。副作用は、ほとんどありませんが、吸入し始めに、一時的な熱や筋肉痛、頭痛がでる人がいます。

この治療ができる病院は、4月の時点で

北海道大学病院、福島県立医科大学附属病院、千葉大学医学部附属病院、杏林大学医学部付属病院、新潟大学医歯学総合病院、愛知医科大学病院、京都大学医学部附属病院、近畿中央呼吸器センター、神戸市立医療センター中央市民病院、倉敷市立市民病院、熊本大学病院、大分大学医学部附属病院、長崎大学病院、東北大学病院、市立函館病院、さいたま赤十字病院、広島大学病院

の17病院です。

おかげさまで2023年4月の時点で使用・使用見込みリューカインが7000バイアルに達したため新規症例の組み入れを終了します。

日本肺胞蛋白症患者会事務局